社会問題化している奨学金の返済利率。教育ローンとは違うのか
6年 ago 金利のはなし 社会問題化している奨学金の返済利率。教育ローンとは違うのか はコメントを受け付けていません
小学校入学から大学卒業まで子供一人に必要な教育費は、数千万円とも言われています。毎月の支出に含まれるため意識することはあまりありませんが、これだけ大きな出費となると何かあったときにお金が足りなくなることは明らか。そこで頼りにしたいのが、教育費目的でお金を借りる奨学金や教育ローンです。しかしその返済が社会問題になるなど、奨学金・教育ローンは利用方法についての議論が盛んにおこなわれています。
奨学金と教育ローンの違いと、どのように利用するのが少ない負担で済むのかを見てみましょう。
奨学金と教育ローンとは
奨学金とは、「向学心に富みながら経済的な理由により学校に通うのがむずかしい学生を対象に、教育の機会均等を図り、豊かな人材の育成をする」目的の資金です。借りた本人(学生)が就職して働きはじめてから返済をおこない、そのお金が後の世代に利用されるという流れ(フロー)が前提となっています。
これに対して教育ローンは、金融機関が提供する通常の目的別ローンの一種であり、学生本人ではなく学生の親が借り入れ・返済をするのが一般的なフローです。
奨学金と教育ローンの借り入れ・返済条件はどう異なるか
気になるのは、奨学金と教育ローンはどの程度の金額を借り入れできるのかという点です。奨学金の利用対象として一般的な貸与型奨学金(大学)を見てみると、国公立で200万円から250万円、私立で250万円から300万円程度となっています。これに対して教育ローンでは金融機関によって大きく異なるものの、無担保型であれば10万円から1000万円程度が一般的であり、中には3000万円までなどという金融機関もあります。
返済条件を見てみると、奨学金と教育ローンの間にはそれほど大きな違いはなく、どちらも金利は1%後半~8%程度であり、10年程度の返済期間を見込んでいます。注意したい点として、奨学金の返済は卒業後からはじまるのに対して、教育ローンは通常のローンと同様、借入翌月からはじまることがあげられます。
奨学金や教育ローンは本当に必要なのか
このように単純にローン商品として見ると、奨学金や教育ローンは比較的有利な条件が設定されていますが。
しかし近年、奨学金の返済滞納や奨学金返済による自己破産が社会問題として大きく取りあげられるなど、奨学金をめぐるトラブルが注目されるようになっています。奨学金や教育ローンの借り入れは本当に必要なのでしょうか。
そもそもの前提として、奨学金は返済義務のあるものがほとんどであり、給付された金額の返済義務がない給付型はごくわずかです。在学期間中は返済を免除されるものの、卒業後に十年単位での返済義務が生じるなど、その名前とは裏腹に奨学金はごく普通のローンサービスの一つといえます。奨学金で返済トラブルになるケースの多くは、このような基本的なポイントを理解せずに安易に奨学金に申し込み、就職に失敗して返済トラブルとなる事態が後を絶たないと言われています。
この点、教育ローンは借り主が学生の両親であることや借り入れた翌月から返済がはじまることなどから、奨学金に対して返済トラブルを招く可能性は小さくなっています。
しかし仮に返済がとどこおれば、在学中から金銭トラブルに巻き込まれるため、奨学金よりもより大きな影響が発生することは明らかです。
計画的な利用が欠かせない奨学金と教育ローン
奨学金にしても教育ローンにしても目的別ローンであることには変わりなく、計画的な利用がトラブルのない返済には欠かせません。特に奨学金はある程度の余裕を持って申し込まないと必要なときに借り入れできないこともあるため、比較的手軽に借り入れできる教育ローンと比べても、より計画的な利用が欠かせません。
おわりに
ネガティブなイメージで取りあげられることが多い奨学金ですが、ローンであるという事実を押さえた上で計画的な利用を心がけることで、返済トラブルの発生を抑制することが期待できます。
納得のゆくキャンパスライフを送るためにも、計画的な利用は大前提と言えるでしょう。