住宅を買うときの固定金利と変動金利、どっちが得か

7年 ago 金利のはなし 住宅を買うときの固定金利と変動金利、どっちが得か はコメントを受け付けていません

マイナス金利政策の導入など、今は住宅ローンを組んで新しく住宅を買う絶好の機会と言われていますが、気になるのが固定金利と変動金利のどちらでローンを組むのが有利かということです。今回は住宅ローンを組むときに固定金利と変動金利のどちらが有利なのかを見てみましょう。

住宅ローンの固定金利と変動金利の違いとは

はじめにごく基本的な部分である変動金利と固定金利の違いから見てみましょう。

変動金利と固定金利の違いは、

  • 変動金利…市中金利などを参考に銀行の判断によって金利が変動
  • 固定金利…完済まで借り入れ当初の金利で固定

と説明できます。
固定金利は借り入れから一定期間の利率を固定とした固定○年と呼ばれるものと、完済までの全期間の利率を固定とした「フラット35」に分けられ、現在では固定金利 = フラット35と言える状態です。

固定金利と変動金利が参照する市中金利はそれぞれ異なります。
変動金利は金融機関が優良企業向けに対して短期(1年以内の期間)で貸し出すときの最優遇貸出金利(プライムレート)である「短期プライムレート」を参照するのに対して、固定金利は「長期国債利回り」を参照して決定されます。

変動金利と固定金利のどちらが得か

ここまで見てきて気になるのが、変動金利と固定金利のどちらが住宅ローンの借り入れに有利なのか?ということです。

そこで押さえておきたいのが、金利変動のときの負担者の違いです。
変動金利は借り主である住宅ローン契約者が金利変動リスクを負うのに対して、固定金利は貸主である銀行が金利変動リスクを負担します。
現在のマイナス金利政策の下では短期プライムレートも長期国債利回りもゼロからマイナス圏にとどまり、それほど大きな違いはありません。

しかし仮に2%の物価目標の達成が実現してマイナス金利政策が解除されて市中金利が上昇すれば、変動金利が現在のような低い利率から徐々に切り上げられることは明らかです。
これに対して固定金利であれば金利上昇分の負担は銀行が背負うことになるので、金利の上昇分は吸収されることとなります。

変動金利と固定金利、その予測は正しいのか

では固定金利での借り入れのほうが有利と考えるのは早計です。

ここでの仮定の前提となる「2%の物価目標の達成が実現してマイナス金利政策が解除されて市中金利が上昇」が実現する時期は不明ですし、そもそも本当に実現するかもわかりません。
あくまでも「仮定」であり、住宅ローンが完了するある時点までの金利状況を正確に予測することはできず、最終的に変動金利と固定金利のどちらが有利だったのかは、返済が完了して支払い総額が確定するまでは分からないのです。

変動金利と固定金利を選ぶシンプルな考え方

住宅ローンで変動金利と固定金利を選ぶもっともシンプルな考えかたとしては、「借りたあとに金利が気になるかどうか」があります。市中金利の変動に合わせて柔軟に繰り上げ返済や借り換えを駆使することで賢い(と思われる)返済をしたいのであれば固定金利よりも変動金利のほうが向いています。反対に、そのような細かいことにとらわれず、毎月決まった金額を機械的に返済したいのであれば固定金利のほうが便利です。
変動金利・固定金利を問わず繰り上げ返済や借り換えを駆使すればより柔軟に返済できますが、基本的な考えかたとしては柔軟な変動金利と機械的な固定金利という認識で良いでしょう。

おわりに

一生に一度の買いものとも言われる住宅と住宅ローンですが、その金額の大きさから住宅ローンの金利条件は最終的な返済に大きく影響します。
金利の考えかたの基本と、借り入れのポイントを押さえて、自分に合った金利を選ぶことがトラブルのない返済には欠かせません。